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地理情報システム(GIS):全国CO2排出推計量メッシュマップについて

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全国CO2排出推計量メッシュマップとは

全国CO2排出推計量メッシュマップとは、都市の脱炭素化にむけた計画立案、管理、維持を実施する際に参考としていただくためのものです。

全国建築部門CO2排出推計量メッシュマップは、産業部門を除く、家庭・業務その他部門の建築物の月ごとのCO2排出量を緯度30秒、経度45秒に区切った、約1キロ平方メートル(1kmメッシュ)の空間解像度で確認することができます。また、月ごとのCO2排出量の合計値となる、年間のCO2排出量推計値を確認することができます。

全国家庭部門CO2排出推計量メッシュマップ、および全国業務その他部門CO2排出推計量メッシュマップは、全国建築部門CO2排出推計量メッシュマップを家庭・業務の部門別に分けたものです。

全国運輸部門CO2排出推計量メッシュマップは、道路などの運輸部門の月ごとのCO2排出量を1kmメッシュの空間解像度で確認することができます。また、月ごとのCO2排出量の合計値となる、年間のCO2排出量推計値を確認することができます。

全国統合CO2排出推計量メッシュマップは、建築部門と運輸部門の推計値を合わせたCO2排出量を1kmメッシュの空間解像度で確認することができます。


「都市地域炭素マッピング手法」とは

全国CO2排出推計量メッシュマップは、「都市地域炭素マッピング手法」によって作成されています。

「都市地域炭素マッピング手法」とは、ビッグデータを用いた活動量解析を様々な情報と組み合わせることで個別建物・道路単位、1時間単位のCO2排出量を可視化する手法です。

具体的には、建築物や交通の基礎情報や統計調査によって公表されている排出原単位に加えて、近年収集可能になってきた携帯端末位置情報に代表されるビッグデータを活動量として利用することによって、細かな空間解像度・時間粒度でCO2排出量を評価する手法です(図1)。作成方法や作成に用いた原典情報は後述に記載しています。

なお、全国CO2排出推計量メッシュマップは、1kmメッシュ単位で集計された建築・交通に関わるデータを用いて、「都市地域炭素マッピング手法」を応用することで作成されています。「都市地域炭素マッピング手法」では、マッピング結果の空間解像度・時間粒度の違いから、図1に示した個別建物・道路単位、1時間単位のマッピングを「高解像度都市地域炭素マッピング」とし、EADASでご利用いただける1kmメッシュ単位、月単位のマッピングを「中解像度都市地域炭素マッピング」として、用語を区別しています。ここでは、手法全体を指すものとして「都市地域炭素マッピング手法」の用語を用います。

全国CO2排出推計量メッシュマップは、1kmメッシュ単位、月単位の時空間解像度ではありますが、下記に紹介する一部地域については、個別建物・道路単位、1時間単位のCO2排出量を可視化しており、現在、推計値の検証や推計手法の改良を進めています。また、太陽光発電パネルや電気自動車などの脱炭素化技術導入によるCO2排出量の削減ポテンシャルを踏まえた、脱炭素化施策を評価するシミュレーション手法の開発を進めています。


(図1):都市地域炭素マッピングに必要なデータと可視化のイメージ

全国CO2排出推計量メッシュマップ作成方法

全国1kmメッシュ単位のCO2排出推計量の作成方法を説明します。下に記載の推計モデルから、建築物(家庭、業務その他)及び交通によるCO2排出量を1kmメッシュ単位で推計し、地図上に可視化しています。また、推計する上での基礎情報として、建物用地面積、道路密度・延長を収集しています。加えて、月ごとの推計をするために、人口分布が重要な決定要因となるため、全国で収集可能な携帯端末位置情報に基づく流動人口を収集しています。なお、ここで建築部門のCO2排出量は家庭部門および業務その他部門の和とし、交通によるCO2排出量は運輸部門として表記しています。作成に利用したデータの原典情報は本ページの下部(表1)に記載しています。


【CO2排出量推計モデル】


家庭部門


  • :住宅(re)からのメッシュim月におけるCO2排出量(tCO2 month–1
  • :メッシュiにおける建物種別b(集合住宅 or 戸建)の世帯数(h:世帯人数区分)<国勢調査>
  • m月における建物種別b、世帯人数区分別h、燃料種別tの排出係数(Gg CO2 month–1 household–1)<家庭部門のCO2排出実態調査>

業務その他部門


  • :業務施設(com)からのメッシュim月におけるCO2排出量(tCO2 month–1
  • :メッシュ iにおける業務区分tの労働者数<経済センサス>
  • :業種区分tにおける都道府県pの年間排出量(Gg CO2 year–1)<都道府県別エネルギー消費統計>
  • :業種区分tにおける都道府県pの総労働者数<経済センサス>
  • :地域rにおけるm月の電灯電力需要実績の割合<電気事業連合会>

運輸部門


  • :交通(tr)からのメッシュim月におけるCO2排出量(tCO2 month–1
  • :メッシュiにおける道路区分kにおける車種zの年間交通量<道路交通センサス>
  • :地域r(全国9地域)におけるm月の輸送割合<道路交通センサス>
  • :メッシュiにおける道路区分k の長さ(km)<デジタル道路地図>
  • :車種zの車速に対する排出係数(Gg CO2 km–1 per vehicle)<土肥学・曽根真理・瀧本真理(2012) 自動車走行時のCO2排出係数及び燃料消費率の更新.土木技術資料 54 (4), 40–45.>

「都市地域炭素マッピング手法」の適用例

「都市地域炭素マッピング手法」では、CO2排出量を人々が把握できる規模や単位で可視化することができるので、例えば、通勤・通学や業務といった日常の行動変化がCO2排出量に与える影響の評価に活用することが期待されます。


●東京都墨田区における適用例

(図2)は、東京都墨田区、2018年10月平均を対象とした「都市地域炭素マッピング手法」の適用例です。通勤・通学の時間帯である6時は、建築物より道路からのCO2排出量が大きいですが、出勤・登校後の9、12、15時は転じて建築物からの排出量が大きいことがわかります。また、18時以降は、繁華街である錦糸町駅周辺のCO2排出量が大きいことも確認できます。「都市地域炭素マッピング手法」は、このように都市・地域におけるCO2排出量のパターン、あるいはリズムの詳細な時空間分布を「見える化」することが可能です。 推計手法やデータ詳細については、山形・吉田(2021)を参照ください。また、本説明の内容を紹介した国立環境研究所動画チャンネルの動画を参照ください。


(図2):東京都墨田区における都市地域炭素マッピング結果
各建物、道路の時間別CO2排出量の大小を色と高さで表現している


●東京都23区における新型コロナウィルス感染症流行前後のCO2排出量の評価例

東京都23区における新型コロナウィルス感染症流行前後のCO2排出量の都市炭素マッピング手法による評価を(図3)に示しています。2020年1月と比較して、感染が拡大した3月には、総排出量が16%減少しています。削減等の内訳は、運輸部門が−13.1%、業務部門が−18.1%、家庭部門が+1.1%となっています。3月は緊急事態宣言発出前の時期であり、新型コロナウィルスの蔓延に伴う外出の自粛、テレワークの推進などの働き方の変化によるCO2排出量の削減効果が大きいことを示唆しています。

また、このようなテレワークの実施率に応じたシナリオの23区内のCO2排出量の削減効果を評価すると、最大の削減ケースとして90%の従来通勤・通学人口がテレワークを行うと仮定した在宅勤務シナリオでは、2020年1月と比較して、CO2排出量を90%削減できる可能性があることを示唆できます。

なお、この推計は携帯端末位置情報の時空間変動のみに依存した試算結果である点に留意が必要です。推計値の検証には、スマートメーターや駅別乗降客数、主要道路の断面交通量などの実計測値との比較が必要です。

このように、テレワークなどのライフスタイルの変化等がCO2排出量削減へ与える影響を、地図上に可視化して評価することが期待できます。


(図3):東京都23区における新型コロナウイルス感染症流行前後と
テレワーク率に応じた経済活動回復シナリオの都市地域炭素マッピング結果


注意点

  • 「都市炭素地域炭素マッピング手法」による推計値は、参考値として掲載しています。今後スマートメーターや、道路の交通量などの実測値、排出インベントリとの比較が必要です。
  • 建築については、家庭部門、業務その他部門のCO2排出量を推定し可視化したものであり、工場などの産業部門の排出量は含まれておりません。

原典情報

全国CO2排出推計量メッシュマップ作成にあたって利用したデータを(表1)に記載しています。


(表1):全国CO2排出推計量メッシュマップ作成に必要なデータ

部門 メッシュにおける属性・係数 提供・販売元:統計調査名 URL
家庭 建物種別世帯数 建物種別世帯数 総務省:国勢調査 https://www.e-stat.go.jp/gis
月別・建物種別・世帯人数区分別・燃料種別排出係数 環境省:家庭部門のCO2排出実態統計調査 https://www.env.go.jp/earth/ondanka/ghg/kateiCO2tokei.html
業務
その他
業種区分別労働者数 総務省・経済産業省:経済センサス https://www.e-stat.go.jp/gis
業種区分別・都道府県県別年間CO2排出量 経済産業省資源エネルギー庁:都道府県別エネルギー消費統計 https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/energy_consumption/ec002/
地域区分別・月別電灯電力需要実績 電気事業連合会:電力需要実績 https://www.fepc.or.jp/
運輸 道路区分別・車種別年間交通量 国土交通省:全国道路・街路交通情勢調査 https://www.mlit.go.jp/road/road_fr4_000071.html
道路区分別道路の長さ 日本デジタル道路地図協会:デジタル道路地図 https://www.drm.jp/
月別・滞在人口 G空間情報センター:全国の人流オープンデータ https://www.geospatial.jp/gp_front/
車種別車速に対する排出係数 土肥学・曽根真理・瀧本真理(2012) 自動車走行時のCO2排出係数及び燃料消費率の更新.土木技術資料 54 (4), 40–45. https://www.pwrc.or.jp/thesis_shouroku/thesis_pdf/1204-P040-045_dohi.pdf

参考情報

  • 【書籍】山形与志樹・吉田崇紘(2021)都市地域炭素マッピング:時空間詳細なCO2排出量の可視化.In: 小端拓郎(編)『都市の脱炭素化』,65–72,大河出版.
  • 【動画】国立環境研究所動画チャンネル:【CO2排出量の可視化】データを活用した都市の炭素管理.URL (YouTube): https://youtu.be/1mYSNo-kGyM

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